間宮一樹 / コンサルタントからの異色の転身!世界遺産『賀茂別雷神社』に奉納した日本画家の真実

はたから見ると、まるで別世界に属する2つのフィールドを自在に行き来している人物がいる。

一方では、企業を支援するコンサルタントとして数々のビジネスを成功に導き、 もう一方では、日本画家として作品を創造し、世界遺産として名高い賀茂別雷神社への奉納を果たすまでに至った。

この物語の主人公は、間宮一樹(まみや かずき)さん

もともとはマーケティングのプロとして起業し、様々な企業をサポートするコンサルタントとして活躍していた。しかし、その経歴だけでは終わらないのが彼の面白いところだ。

 東洋哲学としての「陰陽五行」を学び、人や組織の「宿命」を読み解き経営者にアドバイスを行う「経営軍師」としての活動を開始。さらにそれにとどまらず、ある日突然、芸術大学に入学、「日本画家」としての道を歩み始めている。

そして今や、賀茂別雷神社を始め様々な神社へ作品を奉納するという、まさに異色の転身を体現してみせたのだ。

本稿では、その誕生秘話ともいえるストーリーを余すところなくお伝えしたい。なぜマーケティングの世界から芸術の領域へ、そして神社への奉納へと至ったのか。どのような偶然や導きが重なって、この二つを繋ぎ合わせたのか。

読み進めるうちに、自分の可能性を超えるためのヒントが、きっと見つかるかもしれない。

目次

マーケティングから芸術の世界へ──予兆なき転身の背景

「そもそもスタートは、わりと普通のコンサルタントでした。」

そう笑う間宮さんは、かつて中小企業や個人事業主を対象にしたマーケティングコンサルタントとしてキャリアを重ねていた。

長年売上アップや集客戦略といったテーマに取り組むうちに、「コンサルタント向けのコンサルタント」として、コンサルタントの養成を行う学校=「コンサル大学」を立ち上げるまでになる。彼の効率的かつ戦略的なノウハウを学び、業績を伸ばしたクライアントは数知れない。

マーケティングというのは、いわば仕組みづくり。商品やサービスをどう見せるか、どんな人にどんな手段で届けるか。ロジックで組み立てれば、多くのケースで成功パターンが生まれる。

彼の語り口はロジカルで、ビジネスの数値面に裏付けされた説得力がある。コンサル大学の学長として、多くのコンサルタント志望者を指導してきた事実こそ、彼のスキルを物語っていた。

だが、そんなバリバリのビジネスマンが、まさか日本画家になるなど誰も想像しなかっただろう。

なぜ彼は、予兆もなく真逆の分野に足を踏み入れたのだろうか。

実は、そこにはもう一つ重要な要素があった、後に深く学ぶことになる帝王学や陰陽五行が、それとなく彼の意識を拡張していったのだ。

帝王学と陰陽五行──宿命を読み解く経営軍師の誕生

帝王学と陰陽五行の講座の様子

コンサルタントとして忙しい日々を送る中で、間宮さんは数字だけでは割り切れない部分にも興味を抱き始める。会社が上手くいく・いかないの違いはマーケティング戦略だけじゃないのでは? それぞれの経営者には合うやり方・合わないやり方があるのではないか?

そうした疑問を抱く中で出会ったのが帝王学や陰陽五行と呼ばれる、東洋哲学をベースにした運命学・人間学の世界だった。

「帝王学」と聞くと壮大なイメージがあるかもしれないが、要は組織や国家を導くリーダーの在り方を研究した学問である。そして「陰陽五行」は、万物を「陰と陽」「五行(木・火・土・金・水)」の要素に分け、バランスを見ながら世界や人を読み解く思想だ。

間宮さんはそれらを学ぶうち、「経営者や組織にも運命や宿命というものがあり、その本質を知れば、より適切なコンサルティングができる」という確信を得ていく。

やがて、クライアントに対して「あなたの宿命では、こういう方向性が良いのでは?」とアドバイスする経営軍師という新たな肩書きを手にするに至った。

「経営軍師」としての仕事は、一般的なマーケティングコンサルタントよりも一段深いところに踏み込む。クライアントが目指すゴールと、その人の宿命が一致しているか。会社のメンバー同士の五行はどうか。バランスが悪ければどう調整するか数字だけにこだわらない視点が、彼のコンサルティングを大きく進化させたのだった。

日本画との出会い──通信制芸大で開花した「表現欲求」

初めての公募展で入賞した際のお写真

その後5年ほど、間宮さんは経営軍師として順調に活動していた。マーケティングノウハウと帝王学・陰陽五行の融合は、多くのクライアントを納得させ、成果を上げていく。

しかし、彼の内面にはまだ何か「表現しきれていないもの」があったという。その時の気持ちを言語化すれば「アートの力で、人の心に直接訴えかけるようなことがしてみたい」という思いに近かった。

「理屈っぽい自分だけど、実は感覚的なものにも強く惹かれていたんです。数字で割り切れない美しさとか、伝統文化の世界とか。高校生の頃は美術大学に行きたいとふと思ったこともありましたし」

こうして決断したのが、京都芸術大学 への入学。日本画を学ぶことであった。

とはいえ、岩絵の具や和紙を扱う独特な日本画の世界は、まるで未知の領域。若いクラスメイトのほうが基礎力を身につけており、最初は大いに苦戦した。

「デッサンも色彩理論も、彼らのほうが上手なんですよ。でも、だったら自分は別のアプローチをしようと思いました。マーケティング脳を使えば、欲しいと言ってくれる人を先に集めることができるかもしれない、と。」

そこで生まれたのが、『陰陽五行アート』というコンセプトだ。クライアントの生年月日から宿命を読み解き、悩みごとや実現したい夢などをカウンセリングし、そこから導いたラッキーカラーやモチーフを盛り込んだ作品を描く。つまりオーダーメイドの日本画を先に受注し、その後制作するわけである。

美術業界の常識とは逆行するやり方だが、彼のコンサルを受けたことがある人や、「自分だけの陰陽五行アート」に興味をもつ層から反応があり、最初から多数の依頼が入ったのだ。

「たとえ画力がまだ未熟だとしても、あなたのためだけに描くという思いは伝わる。それに、帝王学や陰陽五行に詳しいからこそ根拠を示しながら筆を進められるんです。

『私が本当に望んでいるのはこれかもしれない』と気づいてくれるお客様も多くて、ほとんどコンサル的な会話をしながら絵を描いていましたね。」

賀茂別雷神社奉納への道──偶然と導きが重なったひらめき

2024年に賀茂別雷神社に日本画を奉納した際の様子

やがて、間宮さんの日本画は「宿命を反映したアート」を求める個人が中心だったが、少しずつ顧客から評価されるようになった。本人はそれで充分にやりがいを感じていた。

そんな折、京都・賀茂別雷神社(上賀茂神社)との不思議な縁が結ばれることとなる。

「もともと上賀茂神社とはご縁があってよく参拝していたんです。参拝した時に神聖な境内を歩きながら、ここに自分の絵を奉納できたら素敵だなと思ったのがすべての始まりでした。側から見たら突拍子もないけど、自分の中では自然に『やってみよう』という気持ちになったんです。」

あくまで個人的なひらめきで、実現させるプランもなく「ダメなら仕方ない」という軽い気持ちだったというが、神社側に相談してみると意外にも興味を示してもらえた。

これはビジネス的に利益がある話ではない。「ただ神様に喜んでいただける作品を描きたい。」という思いが強かったのだという。

「奉納当日、すごく厳かな空気の中で作品を収めました。言葉にしづらいけど、ここまで導かれてきたという感覚がありましたね。自分ひとりの力じゃなく、偶然や縁が重なってこの場にいるんだな、と。」

こうして、経営軍師×日本画家という二刀流を地で行く彼の知名度は徐々に広がり、「異色の日本画家」という肩書きで周囲から面白がられるようになる。もっとも、彼は謙虚に「ただの思いつきだったし、学びの途中で奉納させてもらえるなんて本当にラッキー」と笑うばかりだ。

2025年にも賀茂別雷神社に日本画を奉納

戸隠神社へのアプローチ──好きがきっかけで再び奉納へ

戸隠神社に奉納された際の様子

奉納の機会は、実は賀茂別雷神社だけにとどまらなかった。間宮さんが次に奉納したのは、長野県の戸隠神社。もともと戸隠の地が大好きで、何度も通っていたところ、公募展に出した戸隠モチーフの日本画が入賞したのである。

「入賞して作品が手元に残っていたら、戸隠神社に納めたいという気持ちが自然に湧きました。好きで描いた絵を、好きな神社に捧げるって、ちょっと幸せですよね。そこで連絡したら、これまたスムーズに受け入れてもらえたんです。」

ここでも神社側からのオファーがあったのではない。あくまで間宮さんが「自分の好きなものを自分の好きな場所へ」という情熱を持って提案し、それが認められただけのこと。

「運がいい」「縁がある」と言ってしまえばそれまでだが、その背景には、地道なアプローチと礼儀正しさ、そして作品そのものの魅力があったのは間違いないだろう。何より、「好きだからこそ行動に移せる」ことが彼の強みであり、それが他のアーティストやビジネスパーソンとは少し異なる軌跡を描いている所以でもある。

間宮さんの目指す未来の可能性

間宮さんの作品『家族のやすらぎ』 出典:間宮一樹オフィシャルサイトより

「ビジネスとアートの融合」という切り口で見ると、間宮さんは相当先進的な存在にも思える。だが本人は、「自分はそこまでビジネスをしているわけでもないですよ」と謙遜する。

陰陽五行で得た宿命の知識とマーケティングで培った企画力を組み合わせて、あなただけの日本画を生み出す──それを最初のステップとしてきただけだ、と。

「アートには、理屈じゃ言い表せない力がありますよね。僕の場合、そこに陰陽五行や宿命という見えない背骨を通すことで、より強いメッセージや意味付けが生まれるんです。『自分の本質を絵にしてもらって嬉しい』とか『いつも眺めていたら気持ちが前向きになる』といった声をもらうと、本当にやってよかったなと思います。」

日本画家としての道を歩み始めてからは、芸術大学の卒業を経て、今も積極的に新しいスタイルを模索中。公募展への挑戦や、個展の開催など、いわゆるアーティストとしての活動を地道に続けている。とはいえ、何より大切にしているのは「自分の描きたいもの」と「誰かの宿命」に寄り添うことだ。

「一般的な絵の売り方とは全く違います。でも、誰かに喜んでもらう形で作品を作るほうが、僕の性に合っている。だから依頼があったときに全力で描くというスタンスですね。」

新しい道を切り開くために最も大切な事

コンサルタントの経歴を持つ人物が、いつしか日本画家として神社に作品を奉納する。しかもその背景には帝王学や陰陽五行があり、宿命を読み解く経営軍師という肩書きも携えている

まさに異色としか言いようがないが、間宮さん本人は「不思議と自然にここへ来た」と話す。

振り返れば、まずはマーケティングの世界で独立し、コンサルタントを育成するコンサル大学まで興し、多くのクライアントをサポートしていた。そこから東洋哲学に出会い、人が本来持つ強みや運命の流れを意識し始めたことで、さらに深い次元でのアドバイスを可能にした。

そしてアートでしか表現できない部分を感じ取り、芸術大学へ飛び込み、日本画を描き始めた。最初は技術的なハードルもあったが、あなたの宿命に寄り添う絵を構想し提案することで、マーケティングと陰陽五行とアートが一体となる新しいスタイルを確立した。最終的には偶然の重なりで賀茂別雷神社に奉納が叶い、さらには戸隠神社にも奉納を実現した。

一連の流れを見て感じるのは、「固定観念にとらわれない行動力」と「偶然や縁を受け入れる柔軟性」だろう。

多くの人が、自分は「〇〇〜だから」とそれ以外は専門外と行動をセーブしてしまう。

一方、間宮さんは「ちょっと面白そうだな」と思ったら、一歩踏み出してみる。その結果、縁が縁を呼び、いつの間にか想像もしなかったステージに立っているのだ。

「僕は、途中で気づいたんです。「いろんな偶然が巡ってくるのは、そもそも自分が動いているからだ」って。最初から完璧なプランを立てる必要はなくて、やってみたいと思ったことを素直に試してみる。それを積み重ねるうちに、結果的に大きな成果や幸福に繋がることがあるんじゃないでしょうか。」

これは別に、ビジネスやアートに限った話ではないだろう。人間関係においても、趣味においても、何歳になっても「やろうと思ったときが始めどき」なのかもしれない。たとえ周囲が「そんなの無理だよ」「異色すぎるよ」と言っても、陰陽五行の視点から見れば宿命が後押ししている可能性もある。

あなたが抱えている小さな「やってみたい」を、少しずつ形にしてみる。それは、世界のどこかに思いもよらぬ道を切り拓き、あなたを新しい風景へといざなってくれるかもしれない。

コンサルタントが日本画家として再出発し、世界遺産の神社に絵を奉納する

いまだに信じられない話だが、間宮さん本人は「今でも発展途上。次に何が起きるかはわからないし、そこが楽しい」と語る。ビジネスとアートを超えた先に、新たな可能性が広がっているのだろう。

最後に、彼の言葉をもう一度引用して締めくくりたい。

「自分が動いているとき、偶然は必然になる。『やりたい』と思う心をまず大事にして、あとは導かれるまま動いてみる。行った先で何かが起きたら、そのときまた考えればいいんです。宿命は、そんなふうに人生を面白くしてくれるものだと思います」

このメッセージが、読む人にとって少しでも勇気やきっかけになるなら幸いだ。
コンサルタントから異色の日本画家へ転身し、世界遺産へ奉納を果たした間宮一樹さんの物語は、いままさに続行中。そしてその行く先には、私たちにもまだ知らない未来の日本画や文化の姿が待っているのかもしれない。

今回取材を受けてくれた人

経営軍師・日本画家

コンサルタントとして起業するも、「人は成功やお金だけでは幸せになれない」と実感し、東洋哲学・陰陽五行思想を学び『経営軍師(=東洋哲学や陰陽五行で経営者をお支えするコンサルタント)』としての活動を開始。ビジネスの成果だけでなく、生き方・在り方を共に考えるサポートを行う。

また、子供の頃の夢だった日本画の道へ進み、陰陽五行アートの提供を開始。デビュー直後から半年~1年待ちの人気作家となる。

現在、『経営軍師』と『日本画家』の二足のわらじで活動中。あなたの成長と人生に寄り添いながら、サポートと創作を続けている。

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この記事を書いた人

enmusubi.blogのアバター enmusubi.blog 株式会社えんむすびCEO

峯山政宏 / 株式会社えんむすび代表・地域再生プロデューサー
滋賀県出身。日本の地域活性化の為、2022年に同社を創業。2025年1月、全国各地で文化の担い手へインタビューを実施する「10,000 Voices 〜1万人が語る!ニッポンの伝統文化〜」を始動。地域固有の芸能や祭事を掘り起こして再生プロジェクトを立ち上げる。クラウドファンディングのサポート事業では1.2億円以上の累計支援金額を達成(2025年1月)。岩手県志賀理和氣神社の鎮守の森再生のクラファンにも貢献。個人として、海外務時代に2冊のベストセラーを出版し、累計5万部の実績。

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