江戸時代のエナジードリンク「甘酒」が、いま日本人を救う!?

「甘酒」と聞くと、冬の神社でいただくほっとする一杯や、どこか懐かしい発酵食品のイメージを持つ人も多いだろう。だが実はこの甘酒、江戸時代には夏の栄養ドリンクとして絶大な人気を誇っていたことをご存じだろうか。猛暑で疲れ果てた庶民が、道端で売られる甘酒をゴクゴク飲んで体力を回復していた、まさに当時の「エナジードリンク」だったのだ。

江戸時代の甘酒売り資料写真

そんな甘酒のチカラを、現代の食卓に新しい形で蘇らせようとしている人物がいる。

彼女の名は町亜由美さん。甘酒を「ふりかけ」にすることで、子どもから大人まで手軽に取り入れられる商品を開発し、多くの人に“発酵の恵み”を伝えている。なぜ彼女は甘酒を現代に広めようと考えたのか。そして、その取り組みがもたらす家族や社会への影響はどのようなものなのか。町さんへのインタビューを通じて見えてきたのは、日本の伝統現代のライフスタイルを見事に融合させた、健康と絆の物語だった。

目次

江戸時代のエナジードリンク「甘酒」が現代の日本を救う

きっかけは「子どもたちを健康にしたい」という母の思い

町さんが「甘酒ふりかけ」を開発するに至った最大のきっかけは、自身の子どもたちを思う“母の愛”だったという。

「サッカーの練習の後、子どもたちが疲れ果てている姿を見て『何か自然な方法で栄養を補給できないかな』って考え始めたんです。最初は市販のゼリー飲料を持たせていたのですが、裏ラベルを見たら添加物がたくさん入っていて。これを飲ませ続けるのはどうなんだろう、と不安になりました。」

そこで思い出したのが、幼い頃に飲んでいた甘酒だ。ちょうど発酵食品のリサーチをしていた彼女は、甘酒がかつて「夏バテ防止」に重宝されていた事実を知る。それはまさに、江戸の人々が暑さで消耗した身体を甘酒で癒していたという、歴史上の名場面でもあった。

「子どもたちの体力回復にぴったりじゃないかって思ったんですよね。腸の健康にもいいし、何より自然な甘みがあるので、子どもでも抵抗が少ないかもしれないって。」

こうして彼女は、甘酒を日常に取り入れるための方法を模索し始めた。ところが実際には、子どもに飲ませようとすると「ちょっとクセが強い」「毎日は厳しいかも」という声が家族から上がった。そこで考えたのが「粉末にする」という形にしてしまうこと。粉末状にすることで、料理にも混ぜやすくする工夫を思いついたのだ。

息子が語る「甘酒ふりかけ」の効果と母への感謝

実際に、町さんの息子は「甘酒ふりかけ」や「甘酒の粉」を活用した食生活によって、コロナ禍を健康的に乗り越えることができたと語る。

「コロナ期間中でも、母が毎日、甘酒の粉をいろんな食事に入れてくれたり、甘酒ふりかけでおにぎりを作ってくれていたおかげで、病気らしい病気にならずに過ごせたんです。正直、最初は甘酒の独特な味が苦手で『ウィダーインゼリーのほうが気軽じゃない?』って思ってました。でも父を含め、家族みんなが最初はあまり乗り気じゃなかったからこそ、母が粉末やふりかけにしてくれた。そうすることで自然と食事に取り入れられるようになりましたね。本当に感謝しています。」

最初こそ「甘酒って飲みにくい」「ゼリー飲料のほうがいい」と思った息子だったが、母の工夫によって食事にさりげなく組み込まれ、いつしか抵抗なく甘酒の恩恵を受けられるようになったという。この成功体験があったからこそ、町さんは「家族みんなで楽しめる形」を追求し、ふりかけの商品化に情熱を注いだのだろう。

代々続く田園調布暮らしと「サザエさん一家」のような日常

町さんのご家族は、寛永元年(1624年)頃から田園調布に住み始めたという長い歴史を持っている。まさに「代々ここに根を張って生きてきた」一族だ。四世代同居でサザエさん一家のように大家族が当たり前。日々の食卓には常に味噌汁や漬物など日本の伝統的な家庭料理が並び、外食はほとんどしない生活だった。

世田谷の四世代の大家族で食事している食卓の写真

「小さい頃から味噌や醤油、漬物など、自家製の発酵食品が当たり前にある暮らしでした。外食ってほとんど経験なかったので、大学生くらいになってファミレスに行った時は、正直ちょっとショックでしたね。『こんなに添加物が入っている食事って、身体にいいのかな……』っていう違和感が大きくて。」

町さんが小さい頃ご家庭で甘酒を飲んでいた写真

町さんにとって、自然由来の食材を使い切る「もったいない精神」は、幼いころからずっと身近な存在だった。だからこそ、家族の健康を守るために甘酒を活用することには、なんの抵抗もなかったのだろう。むしろ、先祖が培ってきた伝統を現代の環境に合わせてアレンジする“楽しさ”すら感じていたようだ。

甘酒ふりかけに込められた「江戸の知恵」と「現代の工夫」

甘酒には大きく分けて2種類ある。酒粕を使ったアルコール入りタイプと、米麹を使ったノンアルコールタイプだ。町さんが選んだのは、子どもにも安心して口にしてもらえる米麹甘酒。そこには、江戸時代から続く「発酵の力を日常に取り入れる」知恵が詰まっている。

ただし、甘酒を粉末にする際には栄養が損なわれるリスクがある。そこで町さんは、「低温乾燥技術」という方法を使って、甘酒本来の酵素やアミノ酸、ビタミンを最大限に保つ製造法を導入した。

町さんが開発された甘酒パウダー

「せっかくの栄養が加熱で壊れたらもったいないですからね。だからこそ、低温でじっくり乾かして粉にする。この一手間が、うちの甘酒ふりかけの大切なポイントなんです。」

さらに、子どもやアレルギーを持つ人に配慮して化学調味料を使わず、アレルギーに配慮した原材料を選ぶなど、細部までこだわりを貫いた。味付けもシンプルにして、ご飯にかけるだけで飽きずに食べられる味わいに仕上げている。

甘酒ふりかけを食べた人々の“変化”

では、実際に甘酒ふりかけを口にした人たちは、どのような変化を感じているのだろうか。町さんのもとには、日々さまざまな声が寄せられている。

町さんが開発された甘酒ふりかけの写真

  • 朝食がラクになった!
    「とにかく忙しい朝に、ご飯にサッとかけるだけで栄養補給ができるのが嬉しい」と喜ぶワーキングママ。子どもたちも「何これ美味しい!」と進んで食べるので、朝からケンカが減ったとか。
  • 甘酒が苦手な夫がハマった!
    本来、甘酒の“甘さ”や独特の風味が得意ではなかったが、粉末なら気にならず「むしろ旨味が増して美味しい」と好反応。気づけば、自分から「ふりかけ、まだ残ってる?」と聞いてくるまでに。
  • 健康診断で好結果が!
    「甘酒ふりかけ以外にも気をつけた要因はあるけれど、お通じが明らかによくなった」と話す女性もいる。腸内環境の改善によるものか、体重が少し落ちたといううれしい報告も。

こうした声を総合すると、甘酒ふりかけはただの“健康食”というだけではなく、人々の暮らしや食卓に小さな革命を起こしているようだ。それは、家族が同じものを食べて「美味しいね」と笑い合える時間を増やす、そんな大きな価値に繋がっている。

「江戸のエナジードリンク」を未来

江戸時代、暑さでバテ気味の庶民は、町中に立ち並ぶ甘酒屋台から栄養を得ていた。現代ならコンビニでエナジードリンクを手軽に買えるが、当時の人々にとって甘酒はまさに「元気の源」だったのだ。

町さんは、甘酒ふりかけを通じて、先人たちの知恵を今の時代に活かしたいと強く願う。現代の私たちは情報やモノにあふれ、その分、食生活や健康への悩みも複雑化している。しかし「江戸のもったいない精神」が教えてくれるように、目の前にあるものを最大限に活かす心がけがあれば、新たな価値は生まれてくる。

「甘酒は、お米という日本の主食を余すことなく使って生まれた発酵食品です。もし捨てていたらもったいない。その精神こそ、現代でも見直されるべきじゃないでしょうか。」

地域貢献と「甘酒文化」の復活へ

さらに町さんは、甘酒ふりかけの売り上げの一部を使って、地域の子どもたちへの食育活動や、伝統文化を体験できるワークショップを開催したいと考えている。さらには、江戸時代の甘酒屋台を再現したイベントも企画中なのだとか。

「当時の衣装を着て道を歩きながら、『甘酒はいかがですか〜』って声をかけるイメージです(笑)。子どもたちが『ほんとに江戸時代にも同じものがあったんだ!』とワクワクしてくれたら嬉しいですよね。」

未来の世代に、日本の伝統や発酵文化をどうやって引き継いでいくか。それは町さんがずっと思い描いてきたテーマであり、甘酒ふりかけはその第一歩なのだ。

甘酒が結ぶ過去と未来、そして家族の笑顔

甘酒ふりかけの物語を振り返ると、そこには日本の伝統と現代のライフスタイルがしなやかに融合している様子が浮かび上がってくる。もともと江戸時代には夏バテを乗り切るための必須アイテムだった甘酒が、四世代同居の田園調布一家に受け継がれ、コロナ禍を元気に過ごす息子の健康を支え、さらにふりかけという新しい形で多くの家庭へ広がっている。

町さんは、「美味しいから続く」という言葉をたびたび口にする。いかに身体にいい食べ物でも、美味しくなければ日々の生活には根付かない。だからこそ、飲みにくさを感じる甘酒を“粉末化”したり“ふりかけ”にしたりすることで、誰でも気軽に摂取できるスタイルを創り出した。その結果、子どもも大人も楽しめるメニューが増え、家族みんなが同じ食卓を囲む時間が増えたのだ。

さらに、町さんの背景には、サザエさん一家のように大家族で暮らす田園調布の伝統がある。代々受け継がれてきた食文化の根底には、「身体にいいものを、美味しく、無駄なく食べる」という思想が流れている。これは現代の“健康志向”や“フードロス削減”といったテーマにもつながる、まさに普遍的な価値観と言えるだろう。

今回取材を受けてくださった人

東京で4世代同居で育ち、和食や発酵が当たり前な学生時代を過ごす。上場企業の役員秘書を3年したのち、体調を崩して退職。

健康への関心と趣味だった料理を生かし、料理教室にて5年働く。出産後専業主婦となり、製菓衛生師、発酵食品ソムリエの資格を取得。

2014年、夫が脱サラしインターナショナル保育園を開いたのを機に保育園給食、五感を育む食育をはじめ11年目。現在は発酵グルテンフリーの給食提供をしている。

2020年、試行錯誤した糀甘酒のパウダー化が実現し、糀甘酒のパウダーを加えた『甘酒ふりかけ』の販売を開始。2025年 『糀甘酒パウダー』特許取得。

家庭の食卓を笑顔に!をモットーに活動している。いつか保育園のグルテンフリーレシピ本を出すのが夢!

甘酒ふりかけは、糀甘酒パウダーをベースに、さまざまな風味を加えたふりかけ。ご飯やおにぎり、サラダにかけるだけで手軽に発酵食品を取り入れられます。

「もっと手軽に、もっと美味しく、もっと健康に!」
あゆみの甘酒は、毎日の食卓を豊かにし、家族みんなが笑顔になれる味わいをお届けします。

あゆみのふりかけ
あゆみのふりかけ 甘酒シリーズ
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この記事を書いた人

enmusubi.blogのアバター enmusubi.blog 株式会社えんむすびCEO

峯山政宏 / 株式会社えんむすび代表・地域再生プロデューサー
滋賀県出身。日本の地域活性化の為、2022年に同社を創業。2025年1月、全国各地で文化の担い手へインタビューを実施する「10,000 Voices 〜1万人が語る!ニッポンの伝統文化〜」を始動。地域固有の芸能や祭事を掘り起こして再生プロジェクトを立ち上げる。クラウドファンディングのサポート事業では1.2億円以上の累計支援金額を達成(2025年1月)。岩手県志賀理和氣神社の鎮守の森再生のクラファンにも貢献。個人として、海外務時代に2冊のベストセラーを出版し、累計5万部の実績。

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